非線形波動の物理/特性曲線法を用いた非線形波動方程式の解法(例題1.1)

一般的な波動方程式

$$\frac{\partial \rho}{\partial t} + c(\rho)\frac{\partial \rho}{\partial x} = 0$$

では,伝播速度\(c\)が従属変数\(\rho\)の関数になっている.

このため,この式は\(\rho\)の一次式ではなく,非線形偏微分方程式となっている.

特性曲線法

非線形波動方程式の初期値問題は,以下のような手順で解く.

  1. \(\rho\)の初期分布から\(c\)の初期分布を求める
  2. \(x\)軸上の任意の点\((x,t) = (\xi,0)\)を通り,傾き\(c_0(\xi)\)の直線\(x=\xi+c_0(\xi)t\)を引く.これが特性曲線となり,この上で\(\rho\)は一定値\(\rho_0\)をとる.
  3. この時,時刻\(t\)における\(\rho(x,t)\)の波形は,特性曲線の出発点\(\xi\)をパラメタとするパラメタ表示

$$\rho(\xi)=\rho_0(\xi), x(\xi)=\xi+c_0(\xi)t$$

で与えられる.

例題1.1

特性曲線法に基づいて,以下のような非線形波動方程式の初期値問題を解く.

$$\frac{\partial \rho}{\partial t} + \rho\frac{\partial \rho}{\partial x} = 0$$

$$-\infty < x < \infty, t > 0$$

\begin{eqnarray} \rho = \begin{cases} 0 & ( x \le 0 ) \\ \exp{(-1/x)} & ( x \gt 0 ) \end{cases} \end{eqnarray}

\(t = 5\)における\(\rho(x,t=5)\)の波形をかけ.

解法

  1. 波の出発点になる\(x=\xi\)を適当に設定する.今回は,\(-5 \le \xi \le 10\)に設定.
  2. 与えられた\(\rho\)を設定する.
  3. 波速\(c=c(\rho)\)を計算する.今回は,\(c=\rho\)となっている.
  4. 各出発点\(\xi\)から出発する特性曲線が,\(c(\xi)\)という速さで\(t=5\)に到達する\(x\)座標を求める.\(x = \xi+c(\xi) \times 5\)で計算可能.

 

0から5sまでのすべての波形を描いた.(2019/10/01,図面を修正)